今日も今日とて、とぜんでございます。

20代偏屈オタ男が日々とりとめないことを 書き留めるための随想録。 そしてそれは落書帳。 そしてそれはネタ帳。

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第2部:第1章:不夜城

八月十二日、午後六時三十八分、下関発、門司行きの電車は
その体をカタコトと揺らしながら男四人を運ぶ。ついに九州上陸だ。
私にとっては未踏の地だ。

車窓の風景は住宅地や工場を巡り巡って暗転した。トンネルに入ったようだ。
いよいよ九州だな、と周りに意気込みを訊ねてみるが、
さして盛り上がりはないようだ。
少々の長旅で少し疲れが皆にたまっているように見えた。
電車に日の光が一気に差し込んできた。
門司駅到着のアナウンスが澄んで聞こえてくる。

本州から九州上陸へ、その間はわずか七分ばかりのことであった。
門司駅は中継駅であり特に何も見当たらない。
辺りは夜の顔を見せつつあった。時計は七時を指している。
腕時計の日焼け後が出来たことに気づく。

門司駅から博多駅を目指す。博多に到着したとき
本当の意味での九州上陸だな、と思っていた。
門司博多間は鹿児島本線である。いよいよ九州での旅がここから始まる。
皆の元気も徐々に戻ってきていた。九州だ!ここは九州だ!と
当り前のことを、ただただ歓喜の声として口から漏らしていた。
門司から博多まではそう遠くはない。さっさと鹿児島本線に乗っかり、
約一時間余りで博多駅に到着した。

KC290038_博多看板


電車を降りると、博多ラーメンの看板が目に飛び込んできた。
駅の行先表示板に似せたその看板には「あつか」と「うまか」という
駅を指し示している洒落たペイントが施されている。いよいよやってきた。
博多駅はやはり大きい。九州の要だ。駅前も雑多な雰囲気を残しつつ
都会の姿を見せている。

KC290039_博多駅

KC290040_博多駅前通り


今日の寝床のことを考えて駅前をふらついていると、
赤い看板が目に飛び込んできた。ネットカフェ?漫画喫茶?
いずれの形態でもないその施設の名前が「レジャっぱ!」と
白抜きの文字で赤を下地に大きく書かれている。
その下にレジャー施設の種類が施設名と同じ調子で列挙されていた。
「ビリヤード、ダーツ、卓球、サッカー、ゲームセンター、サスケ、
ボーリング、ロデオ、ボールプール、サバゲー…サッカー…」。

とにかくものすごい数である。「サッカー」が二回書いてある。
間違いなのか、二か所あるのかわからない。
「サスケ」にいたっては表現上、問題が多々あるような気がしてならない。
サバイバルゲーム、通称「サバゲー」に加えて「ロデオ」もできるというのだ。

おかしい。普通の施設ではない。こんなヤバイ施設が
このあたりにあるのかということと、なんともこの怪しい雰囲気は
一瞬で我々の心を奪っていった。
「とりあえず後でここはいってみよう。気になって仕方がない。」
全会一致だ。

見慣れない土地を歩いているといつも以上に時間が
経つのは早いもので、はやいところ夕飯にありつく必要があった。
駅前の飲食店はそんなに遅くまではやっていない。
ホームにあった博多ラーメンの看板が目に焼き付いて離れなかった。

駅ビルをふらついていると最上階のフロアで首尾よく
まだ博多ラーメンの店が豚骨の匂いを散らしながら開店していた。
この匂いはたまらなかった。どんなに馨しいフレグランスの香りだろうと、
腹が減っているとこの匂いの誘惑に勝るものはない。
ライスと餃子のセットを頼み黒塗りのテーブルに着席して待つ。

この待っている時間もまた至福のときだ。匂いが近づいてきて
目の前に白い姿をしたラーメンがやってきた。
作る時の豚骨の鼻をつく匂いはしない。
出来上がったものは脂っこくなく上品なものである。

KC290041_博多ラーメン_新天地


関東での豚骨ラーメン、特にカップラーメンなどで販売されている類のものは
どれもかなり脂が強く濃いものが多いが、
本場ではそうではないということは知っていた。
やはりその情報は間違いではなかった。あっさりと食べることができた。
麺が細いので食べやすさも追求されているといった感じだ。

無事食事にありつけた一行は、ある場所まで戻ってきた。
あの謎の施設を示した赤い看板の前である。
場所を確認するために地図を見に来たのである。
どうにも大雑把な地図である。ホテルの通りを目印に行くということは
わかるのだが肝心のホテルがわからなかった。
とりあえずふらついてみるがウロウロするばかりだ。

落ち着いて見ると一本通りを間違えていたことがわかった。
分かってしまえばこっちのものである。
しかしどうもこの地図、縮尺がおかしい気がした。
地図上ではさほど駅から離れているようには見えないのだが、
通りを十分くらい歩いているうちに全体の半分くらいしか
来ていないことに気付いたのである。

「もしかして、結構遠いんじゃね?」
「だけど、もうここまで来ちまった、歩こうぜ。」
そんなやりとりをしているうちにどんどん道は暗くなり、
なんにもない路地へ入っていった。

「ここを曲がるのか?」
「ガソリンスタンドがあるんだから間違いない。」
辺りはかなり暗い。街灯という街灯もあまりない。
あのレジャーの種類からいって相当な施設だ、
という勝手な想像をしていた。それなのに辺りは住宅地と商業地の
狭間のエアポケットといった感じの場所だ。
こんなところにあの不夜城があるのだろうか。

「もしや、もう潰れたなんてこたぁないよな。」
「まさか、なら駅前にあんな看板出すわけないだろ。」
確かにそうだ。ここは九州の要、博多だ。
潰れた店の看板を掲げるほど情報に疎い街ではない。
目印の公園があった。やはりルートは間違っていない。
もうすぐ着くはずなのにその姿が見えない。不安だ。
だいたい足がもう石のように重い。
背負う「タウン誌」もギリギリと肩に食い込んでくる。
タクシーでも拾って引き返そうかと思ったとき、
目の前に赤い看板の明るい建物が見えてきた。

あれだ。あったのだ。不夜城は存在した。
しかし想像していたものとは少々違う。
分かる人には分かると思うが「らんらんらんど」のような姿をしている。
この建物の中にあれほどの施設が収容されているとは思えない。
エントランスは二階にあるという構造だ。階段を足早に上り、
入り込むと冷房の冷たい空気が体をなめていく。
蛍光灯とネオンの多種多様な光が合わさって室内は眩い限りだ。
確かに見た目よりも中は広い。奥にゲームコーナー。
真中にでかいロデオマシン。そして謎の「サスケ」のようなものが
第一ステージの四分の一くらいだけ用意されている。
素直に「アスレチック」にしておけばよかったんじゃないかと思う。

ギャルっぽい地元のバイトと思しきおねえちゃんたちが、
後ろの端末でとりあえず会員カードを作ってくださいというのでさっさと打ち込む。
冷や汗がだらだらと出てくる。
実は私はここに着くまでの間、大きいのを催していた。
腸があまり強くないのだ。はやく厠に行きたかった。
ほぼ限界である。足をばたつかせて個人情報をさっさと入力して
とりあえず二時間ばかり遊ぶことにした。

遊ぶのはさておきとりあえずトイレへ爆走した。
あと少し遅れていたら大惨事だ。ほっと息をついた。
しかしここじゃ眠れるはずがない。そもそも「サスケ」があるような
この施設に「眠る」という選択肢が存在するわけがない。
寝床は改めて別の場所を探すしかないなと便座に腰をかけながら思い悩む。
まあとりあえずせっかく来たんだから楽しむことにしよう。

九州初夜、博多での夜は簡単に朝を迎えさせることはないようだ。
望むところである。
気分もすっきりさせた私は不夜城に踊り出て行った。



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隼んver.2.1

Author:隼んver.2.1
性別:男
出身:北海道札幌市
現住所:神奈川県横浜市
血液型:不明(いい加減知りたい)
職業:小売・販売業
これまでの迷言:
おれ達は前を見ることしかできない。
好物:ラーメン(何味でもかまわんです。)

少年老い易く、学成り難し。
もう少年でもないので、
老いてゆかぬよう頑張ります。
おっさん老い難く、学成り易し。

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